セクソロジーの不足と隠蔽されるSMの暗部
悠です。
先日、SM専門の整体師・ゴールデンさんのサロンにお邪魔してきました。
一見妖艶で煌びやかなSMの世界ですが、その裏では過激なプレイによる事故が増えています。
SMを楽しむためには安全の担保が必要。
この日、プロの方もショー前のメンテナンスに来てました。
※SM整体師・ゴールデンさんのブログ。過去の施術の記録が数多く掲載されている。
セクソロジー(Sexology、人間の性に関するプラグマティックな知識と技術の科学的な集積)の概念が希薄な日本では、性にまつわる問題は全て個人主義の名のもと孤立化され、不都合は自己責任論で片付けられがち。望まない妊娠も、SMによる事故も、当事者の不注意のせい。
でも、そもそも何に注意すべきかのガイドラインもないものを、どのように注意したらいいんでしょうか?
確かに、性に関しては、身体的個体差や指向・嗜好性の違いのため、おしなべて「こうあるべき」という倫理規範は作り難いのですが、統計的な傾向を一つのガイドラインとして想定することは、それ以降の性的多様性へのまなざしを促すことにつながるでしょう。
世にはSMの「楽しく」て「気持ちよく」て「魅力的な」部分が推し出されがちですが、それはそもそも日本の経済が資本主義に基づいている(消費者の購買意欲を扇情することが需要を生む)からであって、市場の中で出会うSMからはその潜在的な暗部が隠蔽されてしまうのです。
※SMをテーマにした華やかなイベントが各所で開催されている。インターネットの普及以降、飛躍的に増加した。
セクソロジーの不足が個人の性的孤立を促すこと、そして資本主義に基づいて偏ったSM論が孤立化した個人を蹂躙し搾取する現実に、私は強い危機感を覚えます。
性やSMにおける主体性を獲得するためには、隠蔽された暗部に目を向ける啓蒙が必要だと思います。
ネット社会で氾濫するSMのポジティブイメージに疑問を投げ掛け、よりよいSMを探ろうとするゴールデンさんの活動は、SMへの深い愛情に端を発しているように感じました。
余談ですが、私のSMアイドルとしての活動はSMや性の主体性を市場の中で取り戻そうとする試みだし、研究家としての活動はそれらを資本主義の外側に投げ込む足掻きだと思っています。
これからもゴールデンさんへの潜入取材を継続して、フェチトーキョーや大人部ブログにてレポートしたいと思っています!
※私がライターを務めるフェチポータルサイト