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【4月18日】第2回 ゆるふぇみカフェに行ってきました!

福原です。

 

去る4月18日、『第2回ゆる・ふぇみカフェ』に行ってきました!

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こちらのイベント、以前にレビューを書いた『何を怖れる フェミニズムを生きた女たち』で取り上げられていたことをきっかけに知って以来、気になっていたのですが、ようやく行けました。

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会場となったのは神保町のイベントラウンジ・EDITORYという雑居ビルの1フロアを丸々貸し出しているところで、今回のイベントではメインとなるトークイベントを行うエリアの他に、料理研究家さんなどプロが提供する飲食物のバザーを行なうカフェエリアもあれば、写真や刺繍作品を展示するギャラリーゾーン、服や飲食物などの他、トークイベントに出演された方の著作などが売られているフリーマーケットエリアや、お子さん連れの来場者も来れるようにお絵描き道具などが置かれているキッズスペースなどに分けられていました。

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メインとなって進行されるのはトークイベントでしたが、それぞれのエリアは壁で区切られたりなどはされておらず、それぞれの場所で話をされている来場者の方がいたり、キッズスペースで遊んでいる子供達の声が常に聞こえていたりと、名前の通りゆる〜い雰囲気の空間でした。トークイベントの途中、登壇者のお子さんが割って入る場面も(笑)

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会場に到着したとき、ちょうどトークイベントが開始するタイミングで、運営委員の熱田敬子さんによるあいさつが行われました。ご自身が演劇経験者であったことを背景に、ゆるふぇみカフェについての思いを語っていました。入場時に渡されているチラシに同様の内容の文章が書かれていましたので、掲載致します。とてもいい文章です。

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ショーケースイベントは13時からの第1部、16時からの第2部に分けられて行われました。それぞれトークセッション、ギャラリーに展示しているアーティストさんの作品についてのトークなどの複数のパートに分けられて進行していました。トークセッションではそれぞれ3組のゲストが順に15分程度喋り、最後に15分間クロストークという1パート1時間という形式でした。

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(画像荒くてすみません・・・。)
まず1つめのトークセッション、1組目のゲストは、国際医療福祉大学大学院・保健医療学看護学分野の講師であり、文化人類学者として摂食障害についての研究に取り組まれ、『なぜふつうに食べられないのか―拒食とか食の文化人類学』などの著書も記されている磯野真穂さん。
話されたのは摂食障害についてのお話だったのですが、素直に最初の印象を述べると「フェミニズム摂食障害?ダイエット文化の話かな?」なんていう風に思ったのですが、「日本の医療者の間で、摂食障害ジェンダーと絡めて話されることは少ないが、実は日本における摂食障害の患者の9割が女性。まだハッキリとした原因は分かっていないものの、ジェンダーが関連していることは明らか。」という話が非常に興味をそそりました!磯野さんのトークは終始とても明るくユーモラスであり、同時に「欧米ではむしろ女性の病気として問題視されていた、うつ病が日本においては成人男性と関連付けられたことで問題化され、対策が取り組まれた。このあたりが摂食障害と対照的。」などの鋭い観点からの指摘に溢れていて、とても刺激的でした。「15分なので著作からかいつまんで・・・」という前置きで話されていたのですが、もっとお話を聞いてみたい、著作が読みたいと思わせる楽しいトークでした。

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2組目のゲストはすべての子どもがありのままでオトナになれる社会を目指す『NPO法人 ReBit』副代表理事であり、FtMトランスジェンダーパンセクシュアル関谷隼人さん。
関谷さんはReBitの活動の紹介の後、ご自身がFtMとしてどの様な人生を歩んできたかについての話をされていました。小学校5年生まで違和感を覚えることがなかったのに、小学校6年生の時の修学旅行のグループ分けで違和感を覚えたこと、趣味の乗馬ができる高校を選ぼうと思ったものの、制服を着なければいけなかったから断念したこと、高校でLGBT、及びFtMという言葉を知り、「言葉があるなら自分以外にも同じ人がいるはずだ」と勇気を覚えたこと、男女両方の就活や成人式を経験したこと、男としての生き方、女としての生き方をその場で選びながら生きること、などを話されていました。

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3組目は、ゆる・ふぇみカフェ運営委員会より阿比留久美さん、小林杏さん、佐伯英子さん、百崎ゆうさんの4名による、これまでのゆる・ふぇみカフェが行ってきた活動のレポート。配られた資料にも多数載っているのですが、こちらのゆる・ふぇみカフェ運営委員会は、他にも様々なイベントを企画、開催していて、その中から昨年11月に葛西臨海水族園にて行われた『大人と子どものゆる・ふぇみ遠足vol.1』、今年3月21日に運営委員メンバーの自宅で開催された『ゆるふぇみそ作り』など、大人と子どもが一緒になって参加できる形のイベントについてのレポートが行われました。

(ちなみに中には、奇しくも先日このブログでもとりあげた映画『すいっちん』を参考資料にした『男子のセックスの不思議を語る会』が行われていたようです。)
こちらの4名は同い年ながら、それぞれお子さんが居る方、いない方がいたのですが、互いの立場として「子どもがいることで同級生の友人とも疎遠になるのでは」「子どもがいない身として、どのように子どもを持っている友人及び子どもと接すればよいのか」という不安を口にされていました。しかし、イベントを通すことでそれぞれ良い経験ができたということを口にされていました。中でも「世の中にはいろんな人がいると口にはできるが、身近になってみないとわからない。」「子どものいない人が、赤ちゃんが何ヶ月の時には何をしないといけないとか、自分のことのように知ることはできない。だけど大事なのはそういうことを抱えている色んな人が世の中に居ることを体感できること。」という感想が非常に印象的でした。
そしてパートの最後はそれぞれのゲストによるクロストーク。お互いの話題をトークの時より深く掘り下げていく形でやりとりが行われていました。中でも磯野さんの「普通に食べることは簡単じゃない」、関谷さんの「性別を使い分けるときには無意識的にスイッチが入る」、「こうしてFtMとして人前に立つときは、自分の性自認より男性的に振舞っている」ゆる・ふぇみカフェ運営委員会メンバーからの「母子家庭で育ったことで定型的な“幸せの形”に対して自覚的になったし、その型にはまることが幸せとは思わなくなった」「子どもの名前をつけるときに、どういう風に生きても良い名前にした。」、ちなみにクロストークにつなげるときにスタッフの方が口にしていた「なぜ”普通”が閉塞感をもたらすか」という言葉も印象的でした。

次はギャラリーゾーンに出展されている方々によるギャラリートーク。ひと組目は、過去に僕が実行委員として運営に携わっている渋家映像祭に出品していただき、『何を怖れる』が上映された劇場のロビーにも作品を展示していたアーティストであり、ゆる・ふぇみカフェの運営委員としても名前を連ねているクラークソン・瑠璃さん。出展していたシリーズ作品、『赤い合戦図』についての解説を行っていました。(渋家映像祭に出品していただいたのは、この作品のメイキング映像です。こちらで見られます。)

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印象的だったのは、盗撮をテーマにした作品を作るきっかけになったという、秋葉原駅構内に貼られている「盗撮注意」の貼り紙の話でした。瑠璃さんと全く同じ感想を抱きつつも、これが結局ネット上にあげるときには「”お前らいい加減にしろ”みたいな自分と同種の人に呼びかけるような文章が添えられてあげられるんだよなあ・・・」などということを考えながらお話を聞いていました。
ちなみにトークの直前、瑠璃さんにご挨拶させてもらったのですが、会場内の雰囲気を指して「ちょっと渋家みたいでしょ?」と言われました。確かに、同じ空間内でほかのメンバーが何してようが思い思いに過ごす辺は、渋家のリビングに似ているかも(笑)。

2組目は先ほどのゆる・ふぇみ遠足のレポートでも登壇されていた、写真文化論・メディア社会学を専攻し、東京綜合写真専門学校でも非常勤講師を務めてらっしゃる小林杏さんと、ハイナンnetのメンバー、米田麻衣さんによるクロストーク。

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小林さんはメキシコで死児に関する写真の調査を行っていて、展示されているのもご自身で撮られたものではなく、現地の人々が撮って遺された写真をメインに展示していました。興味深かったのは心霊写真について。「忌むべきもののように扱われる日本と違って、19世紀ヨーロッパでは、我が子の形見のように追悼写真として大事にとっておく」という文化があったらしいです。

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米田麻衣さんは中国海南島に住む日本軍戦時性暴力被害者の女性(現地の言葉で「アポ」)の裁判等を支援するハイナンnetのメンバーとして活動されてる方で、アポたちの写真を展示していました。「裁判などで悲惨な体験を語る機会はあるけれど、アポたちが普段どんな生活をしてるかを伝えたい」おっしゃっていました。トークの後には、アポの普段の生活と、日本兵が来た時の被害体験の話を撮った『あぽの四季』と題された短編のドキュメンタリー映像が上映されました。外を見つめるアポの視線に重なるショットなど、印象的なショットに彩られた良質のドキュメンタリーでした。カメラと一緒にアポの家に入ってくるガチョウがとてもかわいかったです。

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第1部の最後は詩人の大崎清夏さんによるリーディング。自作の詩より『かっこいい女』、『世界が踊っているのだから』という2作品の朗読をしていました。先にも書いた通り、会場は仕切りなどは設けられておらず、リーディングが行われた場所もキッズスペースのすぐ傍だったので、特に『世界が踊っているのだから』という大崎さんの詩を読む声に、子ども達の声が音楽のように会場内に響いていました。

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第2部に行く前に休憩が挟まれたので、カフェエリアで食べ物を購入。僕は炊き込みご飯おにぎりとマフィンを頼みました。どちらも手作りで、とても美味しかったです!値段もとてもリーズナブルで、僕のような貧乏人には大いに助かりました(笑)。

第2部を始める前に、運営委員の李亜姣 さんより、先月中国でセクハラをなくすことを訴えたところ「社会に混乱を引き起こした」として逮捕・拘束され、そしてこのイベントの直前でもある4月13日に釈放された5人のフェミニストへ、かけられた嫌疑を晴らし、監視下に置かれている彼女たちが自由を手にできるよう支援を呼び掛けていました。
この件ですが、前日にミシガン大学の歴史学・女性学で准教授をされている王政さんが寄せていたコメントを読んで、とても感銘を受けました。(こちらから日本語に訳した文が読めます。)

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ゲストを変えて2回目のトークセッション。1組目は都内複数の大学でサブカルチャー関連講義などを担当しているライター・文学研究者のトミヤマユキコさん。
トミヤマさんは、ネット上でも話題となった連続テレビドラマ『問題のあるレストラン』について語りました。作品のホームページのあらすじやエピソード、キャラクターなど解説がメインでしたが、トミヤマさんは脚本が『東京ラブストーリー』と同じ坂元裕二さんである点に着目。「『東京ラブストーリー』でリカ(『東京ラブストーリー』の主人公)を孤独なものとして描いたが、それから20年経ち、同じ東京という舞台で、孤独ではない、男には頼らない女性の姿を描いた作品なのではないか、という見方もできる」という持論を展開しました。僕はこのドラマも『東京ラブストーリー』も未見で、『問題のあるレストラン』もパワハラ、セクハラを題材にしているドラマということで気になってはいたのですが、トミヤマさんのトークを聞いたことで、俄然これは視なければという気持ちになりました。

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2組目は銀座ホステス、占領期の性風俗(パンパン、ストリップ、鳩の街、特殊飲食店など)、女性の就業継続を研究テーマにしている宇都宮共和大学講師であり、文化人類学者の松田さおりさんです。
松田さんは自ら取材した、銀座のホステスについてお話されました。写真スライドによる銀座の風景から、ホステスがどういうシステムにより成り立っているか、また俗に「お水」とも呼ばれるホステス業界と、「一般」女性の職場環境の差異を取り上げて、「一般」女性が職場において抱える困難への接続可能性について語りました。松田さんはトークはあまり得意ではないとおっしゃっていたのですが、配られたレジュメを見ると、たしかにこれは15分で語るのは難しいだろうなと思えるほど非常に濃厚な内容のものでした。一読の価値があると思い、イベント終了後このレジュメは、渋家大人部内でも共有させてもらっています。

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3組目は在日朝鮮人3世であり、女性・マイノリティー政策について研究もされている永山聡子さんです。
永山さんは自身のルーツが”コリアン”であることを切り口に、日本の芸能事務所の多くが未だにデビュー時に日本名に変えることを要求することや、80~90年代以降の日本の言論状況など、日本における様々なマイノリティーについての話題をされていました。永山さんの「コリアンや在日コリアンは歴史ではなく、今生きている、と考えている」という言葉が印象に残りました。
永山さんのトークが終わったのち、こちらも第1部同様、3組のゲストを交えてのクロストーク。永山さんからは韓国の方が日本と比べてフェミニズムが盛んであることが話されました。永山さんから6月から公開される日本軍性奴隷制度被害者女性(「慰安婦」)ドキュメンタリー映画『”記憶”と生きる』のチラシが配られたのですが、その監督である土井俊邦さんについて「独自に姜徳景さんの足跡をたどる現地取材をおこなって心情にも色々な変化が生まれたそうです。」と誇らしげに語っていました。
松田さんからは『男しか行けない場所に女が行ってきました』という田房永子さんの著書を引きながら「そもそも何故男は銀座のホステスなどのフィクショナルな女性像にのめりこめるのか」などという話をしていました。

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続いては、新宿2丁目にあるカフェ・ラバンデリアを活動拠点に、トランジスタ・プレスというインディーズでの出版活動も続けている佐藤由美子さんによる詩の朗読。1950年代から60年代にかけてアメリカで起きたビート・ジェネレーションというムーブメントに影響を受けた佐藤さんは、その代表的な作家の作品を引用しつつ、その中にもし自分が身を置いていたらどんなことを思っただろう、という内容の作品の朗読をされました。

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そして、この日最後のショーケースは、日本口琴協会の会員であり、口琴奏者のらるふさんによる、口琴の演奏です。
この口琴という楽器、全く知らなかったのですが、読んで字のごとく奏者は口に入れて演奏する楽器で、モンゴルで紀元前5世紀のものが発見されたりなどかなり歴史が古く、しかもアジア、アフリカ、ヨーロッパなど、世界各地にあるという楽器なんだそうです。また一口に口琴といっても、様々な種類のものがあるようです。らるふさんはそれらを非常にゆったりとした独特な調子で、日本での口琴の歴史が幕府の禁制によって途絶えてしまったこと(なんでも口琴を演奏しながら幕府の老中の悪口を言うことが流行したことが原因とか)などを交えながら解説しながら演奏を聞かせてくれました。
しかしこの演奏が聴いて驚き、音色がほとんど電子音のそれで、楽器が持つ歴史から想像するような原始的な音とはかけ離れてる、むしろクラブミュージックなどを耳にする機会が多い人からしたら、かなり耳なじみのある音色ではないかと思います。我々人類がシンセサイザーの発明以降、初めて耳にしたと思っていた音色が、実はすでに太古の昔に人類の間で聴かれていたのかもしれないと考えると、歴史というものの奥深さを知る思いです。

 

さて、渋家大人部ブログ始まって以来最長の記事になったかと思いますが、これでもまだまだ書ききれないことがあるぐらい、内容の濃い充実したイベントでした!雰囲気は「ゆる」いながら、アート、文学、音楽、サブカルチャーなどの様々なジャンルの表現に触れることも出来つつ、様々な分野の研究者まで集まったりと、とてもバラエティに富んでいながら、コアなところまで触れられるという素晴らしいイベントでした!先にも書いた通り、お子さん連れでも来やすい会場づくりが行われておりますので、興味を持たれた方は、迷わず参加することをおすすめします!

しかしこのイベント、終了時のアナウンスによると、運営委員会の皆様の持ち出しで行われているそうです。トークショーの最中、トミヤマさんが『問題のあるレストラン』から引用していた「続けるということを信じましょう」という言葉が物語る通り、継続というものはただでさえとても難しいものです。僕自身、大人部の他にも渋家映像祭などの運営にも携わっているのでその苦労はよくわかります・・・。その中で継続的に小さなイベントをやりつつ、このような大変なイベントをまとめあげた運営委員会の皆様の労苦は大変なものであることは想像に難くないのですが、それだけの価値があるイベントだと心の底から思いました。是非とも今後も継続していってほしいと強く思いました。

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